2009年
USエアウェイズ1549便不時着水事故

ニューヨーク市そばを流れるハドソン川に不時着水したが犠牲者ゼロで有名になった航空機事故です。
同機はニューヨーク市ラガーディア空港を出発し、ノースカロライナ州シャーロット市のシャーロット・ダグラス国際空港を経由してワシントン州シアトル市のタコマ国際空港へ向かう予定でした。
川沿いのラガーディア空港を飛び立った直後、飛来していた複数のカナダ雁と衝突。双発の両エンジンに吸い込んでしまい、左右エンジンともほぼ停止し(※1)、上昇する速度を出せなくなりました。機長は管制官に連絡し、管制官は比較的近いニュージャージー州テターボロのテターボロ空港へ降りることを勧めますが、機長は、速度が出せず高度が保てないため、たどり着くのは不可能と判断、ハドソン川への不時着水を決定しました。
グライダーのようにバンクしながら速度と高度の調整を行い、市街地の上空を旋回して、時速270kmほどでハドソン川へ着水。水平に近い状態で着水したため、機体後部を破損し、浸水が始まったものの、大破することなく川面に浮かんで停止することに成功しました。
乗員の落ち着いた誘導で乗客もパニックにならず機外へ出ることが出来、翼の上などで待機。川岸の港湾施設に近いところへ着水させたこともあって、目撃者が多く、多くの船舶が救出に駆けつけたため、乗客150名は全員無事救助。乗員5名も機内を確認した後脱出し、機体は1時間後に沈没しました。
離陸から着水までわずか5分程度の出来事で、巨大都市の市街地のそばで大惨事になりかねない状況だったため、機長のとっさの判断と操縦技術が高く評価されました。

※1:全エンジンがダメージを受けるバードストライクは非常に珍しいケース。

ウインドウを閉じます


総合年表

総合年表ブログ