トバ・カタストロフ

現生人類はその個体数の多さの割には、遺伝子的な多様性が他の生物に比べて乏しく、肌や髪の色、体格などに個性はあるものの、生物としては亜種がなく、みなほぼ同じ遺伝子を持っています。この要因としてあげられるのが、人類はかつて極端に人口が減ったことがある、という説。その減少の要因として注目されているのがトバ火山の大噴火です。

トバ火山は今のインドネシア、スマトラ島にあります。世界最大のカルデラ湖がありますが、このカルデラを形成した3回の大規模噴火のうち、7万5千年前~7万年前頃に起こった大噴火は、噴出物が1000立方km、インドでも15cmの灰が積り、灰は遠くグリーンランドにまで達したといいます。
この噴火で地表の気温は下がり、それが数千年続いたとか。気候の激変で、この時代にいた人類のうち、ホモ・エルガステルとホモ・エレクトス、その近縁種は絶滅し、現生人類とネアンデルタール人(及びその近縁種のデニソワ人)だけになってしまいました(※)。現生人類も人口千人から1万人程度未満にまで減ったと言われています。

直接的な証拠があるわけではありませんが、人間の服に生息するコロモジラミは遺伝子的に見て7万年前ころにアタマジラミから分かれていることから、寒冷化にともなって人類が服を着るようになった結果とする説もあります。
また、人類がアフリカを出て世界中に広がる原因の一つに上げる説もあります。

※:ネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子は、現生人類のうちアフリカのネグロイド以外の人種にも含まれているため、出アフリカ以降に現生人類との間で交配があったと考えられている。ちなみにネアンデルタール人の絶滅の理由にも、火山説がある。

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