2010年
ポーランド空軍Tu-154墜落事故

ポーランドの政府専用機がロシアのスモレンスクで墜落、レフ・カチンスキ大統領夫妻をはじめ、国務長官、陸・海・空軍の司令官、総参謀長、国立銀行総裁など要人96人全員が死亡した事件です。この飛行機に大統領らが乗っていたのは、ポーランド側主催の「カティンの森事件」70周年の追悼式典に出席するためでした。
カティンの森事件は、第二次世界大戦中にソ連によってポーランド兵が多数虐殺され、ナチスドイツの仕業にされた事件。その式典はロシア側も参列することになっており、歴史的和解はなっていたとは言え、両国にとって微妙な問題だっただけに、直後にはこの事故も陰謀の疑惑の目で見られました。
事故機はソ連製Tu-154Mで、耐用年数を伸ばす改修を行った直後で問題はなかったとされます。ロシアのスモレンスクにあるスモレンスク北飛行場に着陸しようとして、霧が深く、着陸をやり直している最中に林の中に墜落しました。
ロシア側の管制当局がモスクワかミンスクへ向かうよう指示したが受け入れず、さらにスモレンスクへの着陸の際にも指示を無視したため、以前にも事例があった大統領によるパイロットへの解雇をちらつかせた強制的な命令が原因ではないか、という説もあります。ポーランド政府はそれを否定し、ロシアの管制当局の不備が原因としています。政府中枢が一挙に失われたポーランドでは、政府も市民も一時的に混乱しましたが、ブロニスワフ・コモロフスキが大統領代行となり、選挙を実施して第5代ポーランド大統領として正式に就任しました。

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