2006年
準惑星エリスの命名

エリスは、発見当時、太陽から97天文単位離れたところにあった準惑星。冥王星よりやや大きい直径2400kmの天体です。黄道面からかなり傾いた楕円軌道を通り、太陽の周りを約560年かけて公転しています。
「発見」は2005年1月5日で、そのデータは2003年10月21日に撮影されたものでした。
この発見は、惑星論争に火をつけます。冥王星級の天体であることから、第10番惑星とすべきだという意見が出る一方、そもそも、冥王星自体が、惑星といえるのか、という反論が出てきたわけです。
2006年、チェコのプラハで行われた世界天文学連合の総会で、議論は噴出。当初の新惑星決定の方向から180度ひっくり返り、冥王星、小惑星ケレスを含め、これらは惑星ではなく、新たな定義として、準惑星とする決定になりました。冥王星族、あるいは冥王星型天体と区分されました。

エリスの名は、ギリシャ神話の、トロイア戦争から来ています。
きっかけは、ペーレウスとテティスの結婚式。呼ばれなかった不和の女神エリスは腹いせに、黄金の林檎を「もっとも美しい女神に与える」と称して神の座に投げ込みます。それを聞いた三美神ヘーラー、アプロディーテー、アテーナーが、奪い合いを展開。
その仲裁にゼウスが選んだのが、イリオスの王子パリスだったため、三美神はパリスを籠絡するため、それぞれ自分を選んでくれたら、「アシア(すなわち「世界」)の君主の座」「もっとも美しい女性」「戦いでの勝利」を与えるという「約束」をします。
パリスが選んだのは「もっとも美しい女性」というアプロディーテーの約束であり、パリスはアプロディーテーをもっとも美しい女神と認め、代わりに、もっとも美しい女性「スパルタ王メネラーオスの王妃ヘレネー」を略奪しました。怒り狂ったメネラーオスは兄でミュケーナイ王アガメムノーンに協力を求め、イタケーの王オデュッセウスを引き込んで、パリスにヘレネーの返還を求めますがパリスは拒絶。両者は戦争に至ったわけです。神々も巻き込まれたこの戦争を引き起こしたのがエリス。
そのため、惑星論争を引き起こしたことを絡めて、エリスと名づけた、という説もあります。
ウインドウを閉じます

総合年表

総合年表ブログ